ザ・ブラックオニキス


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023 2017/07/31(月) 23:51:28 ID:4kYhscznUs
聞いてくれ。
俺は当時小学校3年生。一緒にプレイした兄貴は中学生だった。
機種はワインレッドのX1−C。もちろんRPGは初プレイ。
経験値をためて、装備をグレードアップして、だんだん強くなる我が分身。興奮したよ。
でも、俺たちは気づかなかった。廃墟のなかのダンジョンの入り口に。
井戸こそ、地下迷宮への入り口だと思い込んでいたのさ。
クラーケンの凶悪な強さは、理不尽だとは思った。
でも、俺にも、兄貴にも有り余る時間があった。
墓場と井戸1階の雑魚を倒して経験値を稼ぎ、再ロードで敵データを初期化する日々。
レベル6を超えたあたりから、数十回の戦闘でワンドットしか経験値は増えない。
レベルが上がるたびにクラーケンに挑み、皆殺しにされる。
あれは2、3ヶ月後のことだったか。
俺たちは、ついに、倒した。やつを。
これで冒険の入り口に立った、と狂喜したさ。
しばらく地下5階をうろつくと、あったよ、階段が。上りの。
どんな強敵が出てくるのか、わくわくしながら4階に飛び込んだ。
でも、様子がおかしい。敵は、明らかに弱くなっている。
そのまま、3階、2階、1階と、ていねいにマッピングしながら、俺たちの冒険は進んだ。
そしてついに、俺と兄貴は発見したんだ。ダンジョンの入り口を。
見上げると、ウツロの町の星空が、目にしみたね。

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